財務諸表分析で会社の状況を把握せよ!その分析が社長の意識を変える

財務諸表の分析を、会社の成長に活用できていますか? 財務諸表は、企業の財務体質や将来性をみるための重要な情報です。ポイントをおさえた分析ができれば、会社のリスクを減らし事業を伸ばすことができます。

そこで今回は、財務諸表の分析はなぜ必要かをおさらいし、基本的な分析ポイントを分かりやすく解説します。

財務諸表の分析はなぜ必要?

企業の決算書である財務諸表は、「損益計算書」「賃借対照表」「キャッシュフロー計算書」の3つから成ります。

財務諸表の分析には、自社の財務状況を把握するための「自社の分析」と、取引先の信用を見極めるための「他社の分析」がありますが、どちらの場合も損益だけをチェックして判断している経営者が多いようです。

しかし、経営方針や財務体制の見直し、そして取引先の選別には、もう一歩踏み込んだ分析が必要になります。

例えば、損失が続いて純資産部分がマイナスになって会社の倒産につながるものが債務超過ですが、額によっては短期的に債務超過にはなりません。損失が経営にとってどのくらい痛手なのか、債務はどの程度までなら健全なのかを確認するためには、賃借対照表をもう少し詳しくチェックしなければならないのです。

取引先から「うちは資金が潤沢です」と言われて、そのまま信用してよいでしょうか。取引先が言う資金とは一体何を指しているのか、どのくらい潤沢なのかを客観的に判断する必要があります。

こうした分析は、会社の安定した健全な経営につながるため、財務諸表がしっかり分析できる経理のリーダーは、経営者の大切な右腕やアドバイザーとしてなくてはならない存在になるでしょう。

財務諸表で何がわかるの?

財務諸表では、会社の経営や財務状態が健全で安定しているかが判断できます。倒産する可能性があるのか、今後事業が発展していく可能性があるのかが、財務諸表をチェックすればわかるのです。

毎年利益があり黒字だったとしても、経営が健全でなければ短期的に負債を抱えて倒産する可能性があるため、経営の方向性を決める重要な判断材料になります。

取引先の分析をする場合は、会社の支払い能力がわかります。いくら黒字の会社でも、資金をどうやって調達してどのように使っているかによって支払い能力に差がでるため、この分析は必要です。

また、財務諸表からは、在庫の回転期間もわかります。仕入れの何日後に販売金額を支払っているか、受け取ったのは何日後なのかを計算すればわかるようになっています。

財務諸表で確認するポイント

財務諸表の中で一番わかりやすいのは損益計算書ですが、売上高や、一番下の税引き後利益が「赤字なのか黒字なのか」だけを比較して判断していませんか?

売上高が少ない小さな会社でも、売上高が大きい大企業よりもずっと健全で将来性がある場合もありますから、数字の大小で判断するのは適切ではありません。

基本的に、損益計算書では単年ではなく過去最低3年分で業績の推移に注目し、賃借対照表で財務体質を分析するようにします。それぞれの分析ポイントを簡単に解説すると、次のようになります。

損益計算書の分析

「売上高」「売上総利益」「営業利益」の過去の推移をみてみましょう。

「売上総利益」は売り上げから仕入れ原価を差し引いた粗利ですから、これが減っていれば採算性が落ちていることになります。「営業利益」は粗利から販売経費や一般管理費を差し引いたものです。これらを算出すると、会社の本業による業績の推移がわかります。

当期純利益の推移の比較も重要ですが、本業以外の収益や損失や予期しない特別損失などの影響を受けている場合もあるので、上記3点と連動していない場合は経常利益も含めてもう少し詳しくチェックしましょう。

賃借対照表の分析

基本的に、以下の4つのポイントをチェックします。

1.
自己資本比率: 純資産合計 ÷ 資産合計 (%)
借入金に頼らずに自己資本で事業を運営しているかを判断するものです。業種によっても違いますが、通常は20-30%で、40-50%以上であれば優良と言えるでしょう。

2.
流動比率: 流動資産(1年以内に現金化可能)÷ 流動負債(1年以内に返済義務がある負債)(%)
目安として、200%以上であれば負債の返済能力があり、100%以下は負債返済が困難と判断します。120%以上で安全とみなします。

3.
当座比率: 当座資産 ÷ 流動負債(%)
上記の流動資産には在庫も含まれるため、在庫が実際にすぐに現金化できるかどうかはわかりません。そこで、流動資産のうち現金化しやすい資産のみの比率をみるのが当座比率で、目安として100%以上が望ましいとされています。

4.
固定資産比率: 固定資産 ÷ 資本 (%) 
自己資金で固定資産を購入しているかどうかをみるもので、100%以上だと借入金で購入していることになり、経営は不安定と言えます。

まとめ

財務諸表の正しい分析は、自社や取引先の財務体質を判断し、倒産などのリスクを減らして事業を伸ばすことにつながります。しかし、実際は業務が忙しかったり分析そのものが苦手だったりと、財務諸表分析をそれほど重要視していない中小企業の経営者も多いようです。

会社の財務状況を数字で語り、納得できる進言ができる経理のリーダーは、経営者の強い味方となることは間違いありません。今後、今までよりもさらに詳しく財務諸表を分析することで、会社のトップへ的確なアドバイスができる経理リーダーを目指しませんか。

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Back Office Heroes編集部