親方社長的チームリーダーは崩壊?経営のカギは「支援」と「巻き込み」

変化する顧客ニーズ、スピード感を求められる現代において「先頭に立って指揮をとり、人望が厚く、カリスマ性がある」というリーダー像は少数派になりつつあるようです。では、どんなチームリーダーが求められているのでしょうか? 本記事では、今注目されるリーダーシップのあり方をご紹介し、現代に合ったリーダー像を考察していきます。

時代は、支配型リーダーを望まない?

チームリーダーと言うと、リーダーの価値観や人望でチームを引っ張っていく「支配型リーダー」をイメージする方も多いかと思います。

しかし、この支配型リーダーが率いるチームでは、常にリーダーの承認が必須です。場合によっては、何かを決定するまでに時間がかかるというデメリットがあります。同時に、チームのポテンシャルがリーダーの能力に左右されるというリスクも伴っているのです。

部下は、リーダーが優秀なほど自分の考えを持たなくなり、判断力が鍛えられなくなります。スピード化・多様化する状況になればなるほど、支配型リーダーシップだけでは対応できない時代になってきています。

リーダーシップの種類と特徴

リーダーシップは「支配型リーダーシップ」「サーバント・リーダーシップ」「インクルーシブ・リーダーシップ」、この3つの種類に分類され、それぞれ独自の特徴を持っています。

支配型リーダーシップ

支配型リーダーシップとは、チームの中心として絶対的な権力があり「オレについて来い」というタイプです。リーダーは部下の状況を把握・管理し、指示を出します。コミュニケーションは一方通行となり、部下は指示を受けてから行動するようになるため、仕事に対するマインドは義務的になりがちです。

サーバント・リーダーシップ

サーバント・リーダーシップとは、“チームのためにリーダーが存在する”という考え方で、リーダーは部下に対して支援や奉仕を通じて信頼関係を築き、部下が自ら行動する状況をつくります。それと同時に、失敗があったとしてもそこから学べる環境づくりにも取り組みます。

支配型リーダーシップとは相反する発想で、「支援型リーダーシップ」あるいは「奉仕型リーダーシップ」とも呼ばれているのが特徴です。実際に、サーバント・リーダーシップを導入し、成功している企業の一部は次の通りです。

  • 世界を代表するコーヒーチェーンとなった「スターバックスコーヒー」
  • 世界最強のLCCと評されるアメリカの「サウスウエスト航空」
  • 無印良品の名でライフシーンを席巻する「良品計画」
  • 国内化粧品業界で売り上げ&シェアランキング1位を誇る「資生堂」など

(資生堂のランキングは【業界動向サーチ】より)

インクルーシブ・リーダーシップ

インクルーシブ・リーダーシップは、一人ひとりのなかにある、リーダーとしての素質を引き出しながらチーム全員で組織を引っ張っていこうという考え方のリーダーシップです。

インクルーシブとは、「インクルード」=「巻き込む」という言葉から派生したもので、それぞれが持つ多様な個性をインクルードしながら一体となり、だれもがチームの一員として力を発揮する状態をいいます。

また、インクルーシブ・リーダシップまたはインクルージョンという言葉は、「ダイバーシティ」とあわせて語られます。それぞれ別の意味でありながらセットで用いられるのには、両者を組み合わせてより効果的に人材問題の解決にあたろうという意図があるからです。

ダイバーシティとは、「多様な人材を認め受け入れる」という考え方。ビジネスシーンにおいては、少子高齢化に伴い労働人口が減少していくなか、有望な働き手となる女性や高齢者、海外人材をこれまで以上に雇用していこう、そのために労働スタイルを柔軟化していこう、といった方向性を指しています。

そこで必要となるのが、受け入れた人材の能力をどう活かすかという活用方法。つまり、一人ひとりの能力を活かして組織を強化していく、インクルージョンという考えが不可欠になってくるのです。

このような状況から、インクルーシブ・リーダーシップが現代に即し、未来を見据えたリーダーの形であることがわかります。

今、求められるリーダー像は

そこで昨今注目されているのが、前述したサーバント・リーダーシップ、インクルーシブ・リーダーシップという考え方です。具体的なケースを例に挙げて解説していきましょう。

映画監督とキャストの深い信頼関係

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した『淵に立つ』。「NIKKEI STYLE」の記事で、監督の深田晃司さんについてキャストの古舘寛治さんからこんな言葉が寄せられています。

映画に関しては天才で絶大な自信を持っているが、他のことはあまりできそうにない。だから周囲がみんな手伝ってあげる。それが監督としての強みでもある”と。

同じくキャストの浅野忠信さんは“みんなが監督のために何かしてあげたいと思うようになり、この人の役に立ててよかったと喜んでいる。俺も監督をいじめるスタッフがいたら、監督の絶対的な味方になってやるぞと思った”と語り、監督業に対して突出した才能を認めながら、完璧ではない監督に対し深い愛情を示しています。

これらは決して特別なケースではなく、とくに中小企業では身近なチームリーダーのあり方ではないでしょうか。「率先してフォローしたい」「自分と異なるからこそ尊敬できる」という働き方やマインドは、私たちがすでに実践し、身につけている能力なのです。

まとめ

以上を踏まえて考察すると、「リーダーとはこうあるべし、という画一的な考え方にとらわれなくてもよい」というのがひとつの結論です。サーバント・リーダーシップ、インクルーシブ・リーダーシップが時代に即していることが確かである一方で、チームの自立度が未熟な場合には、支配型リーダーシップ(チームへの配慮があることが前提)が必要な側面もあるでしょう。大切なのは、現状を見て柔軟に対応し、チームの形を変えていくこと。どこにでも当てはまるリーダーシップの方程式はないのです。

参考:

 

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Back Office Heroes編集部